ラーメン・つけめん図鑑: 2007年1月アーカイブ

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 たまたま神保町で打合せをしているとき、居合わせた女性が「青森県のラーメンってなんでしょうね?」と聞くので、「青森なら煮干し味じゃないでしょうか? 高いけど焼き干しというのもあってさっぱりした味わいですね」と青森ラーメンで話が盛り上がった。
 暮れなずむ白山通り、最近、神保町交差点から水道橋にかけてやたらにチェーン店が乱立する。教えられた通りに通りの向こうにマツモトキヨシを見ながら水道橋方面に歩く。やっと見つけた「青森のラーメン店」というのが「豚そば屋 けっぱれ」であった。一瞬、どう見ても青森らしさがなく、通り過ぎてしまった。でも「けっぱれ」だよな。山口瞳ファンなら必ずわかるのだけれど、これは青森弁で「がんばれ」の意味である。
 仕方ないので入ってみると典型的やりすぎの内装だ。イラストというか絵と手書き文字というのがわざとらしく、「つくられた」という雰囲気。その雰囲気を和らげているのが店員さんのダサイ対応ブリ。最近、どうもこの作りすぎの店が多くて困る。気色悪い。だいたい人気のあるラーメン屋ほど内装などは普通ではないだろうか。
 メニューを見るともっとも青森らしいと思っている、煮干し風味の醤油ラーメンがなく、それにあたるのが「コク醤油680円」であるらしい。あとは味噌や塩、味噌カレーなんてのもある。よく見ると「青森ねぶた漬け丼」というユニークなものもあり、好奇心が湧くが、やってきたラーメンの背脂が全面に張って(氷が張るように)いるのを見て諦める。
 見たところスープは乳白色である。一口すすると、そこにあるのは、みちのく青森の味わいではなく、完全にニューウエーブの作り出すもの。背脂の甘味と醤油と塩、スープは明らかに豚骨にほんの少し煮干しかなにかのアミノ酸も感じる。今、あちこちにある「花月」に似ている。でも「青森か!」と思ってはいるとがっかりするだろう。ボクなどは一日机に向かっているわけで、汗をかくような仕事ではなく、しかも今年は暖冬だ。とてもこのような濃厚で「旨い」ラーメンを食べたいとは思わない。
 またこのように内装や外装に凝るくらいなら、ラーメンの値段をもっと下げるべきだ。基本が680円は高いな。

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豚そば屋 けっぱれ 東京都千代田区神田神保町1-54-3 原田ビル1F

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 中山道を歩いてみたい。そして十条に抜けて川本三郎(敬称略とする。なぜならばまったく未知の方であり、尊敬しているものの。「さん」をつける方がなれなれしく思える)のエッセイにあった酒場にも行ってみたい。と思って地下鉄東西線板橋市役所の階段をのぼる。そして旧中山道を十条に向かって歩いていたら、どこまでいっても環状七号線に行きつかない。そして現中山道に行きあたり、まったく逆の方向に来ていたのが判明。しかたなく板橋の駅を目差していて見つけたのがこの店。店構えにわざとらしさがなく素朴で、きっとうまいものを食わせてくれそうだ。
「てもみラーメン」とあったのでとりあえずそれにする。そしてカウンターのメニューを見るとなんとこれが380円なのである。どこかで酒でもひっかけて帰ろうかと思っているので、夕食は軽くでいい。でも中華系のレバニラ炒めや餃子がうまそうだ。でもとりあえずお願いしたラーメンが来たので、とりあえずひとたぐり。これがうまいのである。なるとはないものの、チャーシュー、海苔にメンマ、そしてワカメ。ワカメが入っているのはいけないにしても素直にうまい。スープも全部飲んでしまいそうだ。これ本当に380円でいいの。
 国道沿いにある創業何年と書いてある店よりも何倍も味がいい。ボクなど板橋住まいならなんども来てしまいそうだ。

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新しん 東京都板橋区板橋1丁目49-5 03-3579-8882

「麺・DINNING 毘沙門天」は豊田駅から住宅地へ北上しての目立たない場所にある。昨年の12月にこの前を通ったら「12月20日オープン」とあって、「新しいラーメン屋が出来るんだ」と楽しみにしていた。そして店名が「麺・DINNING 毘沙門天」なのである。外見からしても「今時の店だな」、っと思って今年になって実際入って見ても「今時の店だな」と思った。こぎれいな店ではあるが気楽にラーメンを食べるという気分になれない。酒が飲めるし、おつまみや一品料理もある。そこでオヤジには来てほしくないのかも知れない。「ある程度オシャレな店にしたいのか?」、とするとオヤジバリア設計かも知れない。
 また店員の服装はこのようなものではなくて「渡る世間は鬼ばかり」のあれがいちばんだとオヤジは思うけど、若者はTシャツや黒ぽい前掛けや、普通の格好が落ち着けるのだろうか? 今時のラーメン屋の姿形が気色が悪い。

 そして初めて入った店で必ず注文するのは、いちばんスタンダードなもの。品書きを見ると「ラーメン」があって、当然これしかない。
 出てきたらなんとステンレスだろうか、受け皿に乗っている。これが不安定な感じでいやだな。また丼の選び方もいいとは思えない。どこか今時の女性が好みそうな絵柄、形。
 そこに半熟の煮たまご、チャーシュー、海苔にちらしてあるのはワケギだろうか? それとゴマ。このあたりの取り合わせは好きでも嫌いでもない。でも煮たまごは「オヤジ殺し」だ。またスープは比較的澄んでいる。
 そしてスープから。この味わいはいい。やや塩分濃度辛目、鶏ガラの風味がある、そして適度なアミノ酸の旨味。ここに少しだけ、魚貝類のアミノ酸が加わるといいかも。でもこのスープはいいな。そして麺であるが、嫌いと言うわけではないが、好きじゃない。あえてこれを選んだわけがわからない。ボクの行きつけの岩本製麺(八王子)などならもっとこのスープに合うのがあるように思える。
 さて、この毘沙門天は「店の作りと雰囲気は大嫌いだ! けど、もう一度行ってみたいな」と思わせる店。手放しにうまいとは思えないがラーメンに関してはボクは好きだな。塩味の「鶏そば」というのもあって、それにも惹かれる。

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ボクの感想はアテにならないので、詳しいことは「さやぴぃさんのデータベース」へ
http://www.geocities.jp/sayapie3838/database.htm

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 相模原の市場はまことに混沌として、また雑然として、そしてとらえどころがない。四方八方に棟があり、肉屋、魚屋、そば屋に寿司屋、などがバラバラに存在しているのだ。こんな空間が横浜に向かう国道16号に隣接していること自体驚異を感じるのだが、個人的にはこの闇市の雰囲気の感じられる空間が大好きなのである。
 私的意見ながら相模原はつまらない。ただのベッドタウンである。そんじょそこいらのサラリーマン氏にはやっとたどり着いたマイホームの地かもしれないが、あなたたち現在主流の人種が作り出す街はぜんぜん面白みがない、つまらないのコンコンチキである(この辺、昔の中村錦之助になったつもりで読んで欲しい)。そこに唯一華を残すのが相模原綜合卸売市場なのである。まさに有機的な人間味あふれるところなんだよ、ここは。
 そこで不思議な店を発見。外見は喫茶店としか思えない。でも定食、ラーメンの文字があるんだから食堂だろうか? 面白いので入ってみる。そして勇気を出して「ラーメンお願いします」。

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 奥からどことなく上品そうなオバチャンが出てきて、濃いお茶を出してくれる。目の前にはなかなかそうそうたるうまそうな品書きが並ぶ。よく考えると早朝から走り回って、腹ぺこペコなのに思い切って入ったので冷静さにかけていた。見るとハンバーグ定食、焼き肉に、中華の野菜炒め、チャーハン、そしてカレーにオムライス、焼き魚まである。あまりに大きな失敗に頭がクラクラしていたらラーメンが来た。
 ふと見回すと外からの光が柔らかく、そして暖かい。なんとも居心地のいい空間で、これなら相模原に来たらここで飯を食うのもいいなと思ってしまう。そしてラーメンだが、いたって平凡なあえて言えばうまくもまずくもないもの。でも400円は安いだろうし、のんびり新聞でも読みながら、ここで一時を過ごすだけで、それ以上の価値がある。

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相模原綜合卸売市場
http://www.sagamihara-ichiba.co.jp/

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