ラーメン・つけめん図鑑: 2006年8月アーカイブ

 16号から八王子市街へ向かう広い道路ぞいにあるとは言え、まったく目立たない在り来たりの外観なのが八王子ラーメンの名店「おがわ屋」なのだ。間口2間ほど、暖簾をくぐり右が厨房、カウンターとテーブル席2つ。厨房のなかには仲の良さそうなご夫婦。
 この「おがわ屋」、市場のラーメン好きが真っ先に挙げた店。期待大でとうぜんお願いするのはラーメン大600円。出てきたのが、まさしく典型的な八王子ラーメンなのである。スープは醤油味、そこに油が浮かんでいて、濃厚に見えてあっさりしている。それなのに味わいにコクがある。トッピングはチャーシューにメンマ、のり、真ん中に刻み玉ねぎ。ストレートで黄色みがかった麺。
 八王子ラーメンは数々あれど、ここのスープの旨さは郡を抜いている。まず、一口すすってうなるほどうまい。そこにあっさり刻み玉ねぎが来て、麺と共にすすり込む。この全体のバランスもいいのである。普通、大盛りラーメンを食べていると「飽き」を感じてしまうが、ここのはコクがあるせいか最後のひとすすりまで味わいが落ちない。
 当然、八王子ラーメンにはご飯が合うので、普通盛りをつける。この昼飯はボクのもっとも好む所であるが、我が人生を縮めそうである。

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東京都八王子市大和田町5-27-11
多摩地区のラーメンに関してはここを見るべし
八麺会
http://www.hachimen.org/hachimen/
さやぴぃのラーメンデータ
http://www.geocities.jp/sayapie3838/database.htm

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 ボクの八王子ラーメン事始めは、隣町である日野市の「みんみん」から始まる。そこで食べたのは非常に醤油の色合いも味わいも濃厚な、しかも油(これはなんの油かわからない)が上部にふわりと層をなしていながら、スープは澄んでいるもの。トッピングはチャーシュー、メンマ、のりであり、麺は鹹水の割合の多そうなつるりとしていてストレートな代物。すすってコクのあるものだが、後味は思ったよりもさっぱりしている。そのさっぱり感を生み出しているのが、もちろんスープのよくアクとりをした上品さにもあるが、それ以上の効果を生みだしているのがみじん切りの玉ねぎ。そう八王子ラーメンの最大の特徴が刻み玉ねぎなのだ。
 これを八王子の土着の人々に話すと「どうもこのスタイルを始めたのは初冨士という店であるらしい」、その同時期かやや後に楢原の「みんみん本店」があって、そこで「修業したのが日野のみんみんの今はなき店主である」ことなどである。そしてかねがね楢原の「みんみん」行ってみたいと思っていたのだ。
 八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」の渡辺隆之さんにその店の様子は聞いていたものの。そんな名店だろうからと、かってに大きな店を想像していた。その「みんみん本店」がまことに目立たない、しかもちょっとみすぼらしい建物なのだ。だいたい暖簾がちぎれてひらひらして野卑ではないか。
 メニューはいろいろあるが初めてであるので注文するのは当然「ラーメン並480円」。「大580円」「特大630円」と量を選べるのも日野の「みんみん」と同じである。
 出てきたのが今どきの店からするとやや小振りのラーメン丼に入った「まさしく八王子ラーメン」である。色合いからすると日野よりも淡い。そして醤油味が生な感じがする。表面にはやはり透明な油が浮かんでいるのにとてもあっさりと醤油辛い。ボク好みの、ある意味でラーメンの原点ともいうべき味わいである。ここなら毎日通っても飽きないだろう。飽きたらバリエーションである「ネギラーメン」を注文すればいい。
 またこのコクのある味わいにはとてもライスが合うのだ。ボクはライスは「半」よりも「普通盛り」をお勧めする。若ければ特大、並盛りライスでも平気だったのになー。

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みんみんラーメン本店 東京都八王子市楢原町437-1
●詳しくは八麺会
http://www.hachimen.org/hachimen/

 沼津生まれ、沼津育ちの飯塚さんは「沼津の味の案内人」のひとり。その飯塚さんお勧めの店が今回の「多津家」なのだ。
 沼津魚市場と道一つ隔てたところには問屋さん、市場の事務所、そして無数の魚屋、乾物屋、肉屋が密集している。そこは観光客が押し寄せる寿司屋、飲食店も多いのだが、地元の人や市場関係者しか行かない穴場的な店も当然だがあるのだ。その一軒が中華の「多津家」である。非常に細い路地の奥にあり、とても観光客では見つけられないだろう。ただ、市場周辺を歩いている地元の方に聞くと間違いなく教えてくれる店。
 薄暗い路地を入ってたどり着く「多津家」はいたって普通の中華料理店である。そこでは市場関係者が炒飯や野菜炒めなどで新聞を読みながら朝飯を食べている。市場に隣接するので焼き魚などがあるのがこの店の特徴かも知れない。
 この店で飯塚さんおすすめなのが「半ちゃんラーメン」である。これは神保町の「伊狭」、「ラーメンさぶちゃん」でもお馴染みのもの。そして出てきたものがラーメンが「伊狭」の味に似ているのだ。飯塚さんは学生時代をお茶の水で送っている。てっきり、この味わいに「伊狭」でも思い出しているのかと思ったら、「半ちゃんラーメン」は「多津家」で初めて食べたのだという。
 典型的なしょうゆラーメンが「チャーシュー、メンマ、なると」の具が揃うことであるとしたら、それに近いもの。「なると」が珍しいことに「赤い蒲鉾」に取って代わっている。でもスープは鶏ガラに少々煮干しか、海産物の旨味が加わっているものでまさに浅草「来々軒」や初期のラーメンと同様のもの。まあ、取り立ててうまくもないが、この平凡さゆえに「また食べたくなる」というのも神保町「伊狭」と似ている。

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飯塚さんの海の世界
http://www.numazu.to/sea/

 神田神保町、本の町の住人になって30年になる。当時からの店はほとんどなくなっているのだけれど、半ちゃんラーメン(チャーハン半人前とラーメン)の『伊峡』は相変わらずである。『伊峡』のある一角は、古本屋街とは靖国通りを挟んで反対側、しかも裏通りにある。ちなみに靖国通りの北側に古本屋がないのは南向きで日差しが入るため、本の保存や陳列に向かないためだ。このあたりは安いカレー屋があったり、そば屋があったりするものの古本屋があるわけでもないので、かなり神保町に詳しくないと来ない場所であった(最近、靖国通りの北側に面白い古本屋が増えてきて、本当に穴場的な場所となっている)。
『伊峡』はもともとは今ある角の店の前角にもっと大きな店があり2店舗併設であった。その前角の店では野菜炒めなど一品料理でご飯、こちらではラーメンを食べるというのが常識であった。これは明大付属からずーっとここが地元であるという仲間から聞いたこと。前角でラーメンを頼んだとき彼が「こっちではラーメンは頼まないの」と言われたことを今でも思い出す。
 考えるに『伊峡』を知らない神保町人はいないだろう。腹減り学生の頃には、迷うことなく半ちゃんラーメン。これがどれほどご馳走だったことか。また本を買いすぎて懐が寂しくなったら、ここに来てラーメンだけをすする。本の街の住人ならこんな経験を持つ人多しだろう。また最近知人と立ち寄ると、ともに注文したのがワンタン麺なのである。これも考えてみると学生時代にはいちども食べていない。

 この店のラーメン、ワンタン麺、チャーハンなど、別にうまいわけではない。ラーメン380円、ワンタン麺480円という値段でもわかるように学生に優しい値段で、その学生が就職しても、また定年を迎えようとしても、まだ続けて食べている。この店のいいところは取り立ててうまいわけではないが、まずいわけでもない。ただただ平凡に徹している。それが長〜く人を惹きつけているのだと思う。これは余談だがこの店で気になるのは茹でた麺の水切りが悪いことだ。これが旨味の弱いスープをより味のないものにしている。今回も「麺の水切りもっとしっかりやってよ」と思いながらワンタン麺をすする。
 さて、この店のラーメンはやや濃いめの醤油味、とりたててスープがうまいとは思えないが鶏ガラの香りがときどきフワリと浮き上がる。そこにストレートで鹹水の香りが残る麺。小さなチャーシューに醤油でよく煮染めたメンマ、海苔。とても平凡ながら、なぜかずーっとつきあえる、また惹かれ続ける味わいである。また来週来ようかな? なんて店内では思わないのに金華小学校の前なんかを通っているとき、ふと立ち寄りたくなるのだ。

 さて蛇足だが、話は「半ちゃんラーメン」に移る。この小盛り(『伊峡』のは小盛りではない)のチャーハンとラーメンという取り合わせ、けっして神保町だけのものではないことがわかってきた。沼津の多津屋、都内各所でこれが見られるのだ。神保町の『さぶちゃん』は『伊峡』からののれん分けとしても、いったい「半ちゃんラーメン」を初めて出したのはどこなんだろう?

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大人になって初めて知ったワンタン麺の味。学生のときには一度も頼んだことがない

伊峡 千代田区神田神保町1-4

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 昨年の糸魚川の町歩きは楽しかった。ヒスイばかりが名物であるかのように思えたのだが、糸魚川の街も素晴らしい観光資源だ。ヒスイなんて、素人にはなかなか見つからないなら街を歩くことをおすすめする。楽しさからいって大人なら飛騨高山よりも上だぞ。
 糸魚川駅から日本海に向かって大きな通りがある。駅から海に向かって歩いても、この通りは大きいだけであまり面白い店は見つからない。そんなときに左手に雁木の軒先が見えて、可愛らしい絵馬が飾っている。この通りがまことに楽しい。造り酒屋、古そうなそば屋、京屋という仏具を扱う店があったり、また昔は繁盛していただろう雑貨屋さんがあり、またそれと対照的な真新しいケーキ屋もある。
 そんな雁木の通りで見つけたのが「こだま食堂」である。暖簾はなく、漆塗りであるような重々しい扉、その脇に不思議な石像がある。「営業中」と書かれた木札がかかっていて、いったいなんの店なのか? わからないので店内を覗くと明らかに食堂である。
 思わず、入ったら中はいたって普通の田舎の食堂。この外観とのギャップが面白い。店内はガランと広く、その割にテーブルは少ない。右手奥に小上がり、左手に厨房がある。
 品書きを見ると中華を中心として、カツ丼など丼物もあるという、古い形の「大衆食堂」そのものなのだ。ただここでなぜか気になるのが「焼きそば」。でも考えた末にボクはカツ丼、家族はラーメンにする。
 ラーメンはすぐに出来上がってきた。これが面白い。チャーシューは今時の在り来たりのものだが、オレンジ色のなるとが入っている。この練り製品の入ったラーメンというのは古い形なのだ。ラーメンが誕生したのは明治43年浅草に出来た来々軒において。その「支那蕎麦」(支那の文字は歴史を語る上で使用しているもの)の具はチャーシュー、ネギになるとなのである。(「文化麺類学 ラーメン篇」奥山忠政 明石書房)この練り製品はときに蒲鉾になる。

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 姫が「あまり食べたくない」というので少しわけてもらう。これがまことにうまい。なによりもスープの味がさっぱりした塩しょうゆ味。それをよく縮れ麺がからめて食べていてまことに軽く感じる。あんまりうまそうに食べていたので(まずそうに食えばよかったのだ)姫の食欲が復帰。残念ながら3分の1で我慢。そしてやっと来たカツ丼は平凡なものであった。残念、「こだま食堂」ではラーメンに軍配。
 さて、思いもかけぬ糸魚川で古いタイプのラーメンを発見して、その上、うまかったのだから大満足。「また来たいな」と思いながら、そろそろ一年が経ってしまうのである。


こだま 新潟県糸魚川市本町6-9

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 福島県浜通にある浪江町は小さいけどいい町であった。その夕暮れ時に入ったのが『大室屋』。なんといってもその無骨だが古めかしいツタの絡まる外観に惹かれた。このコンクリートなんだか木造なんだかわからない建物って、ボクの年頃には懐かしいな。
 丼と麺類だけの店で、入った途端に失敗したなと思ったのだが、2階からどかどかと下りてきた高校生達。その誰もがラーメン代金を支払っている。これ、懐かしい光景だ。高校時代に徳島本線、穴吹駅前の『穴吹食堂』と言うのがあって、お腹がすくと、ここでラーメンやカレーを食べた。こんな店はみな味がいいのだ。ボクが高校生でこの2階から下りてくるようなデジャビュを感じる。
 その『大室屋』、外観の古めかしさから思わず入ってしまったのだが、中に入った途端にその薄暗い古色をおびた店内にまた心がざわめく。1階は狭いテーブルが並ぶが2階があって、どうも宴会なども出来るのではないだろうか。その一人客としてボクの目の前のテレビは福島のローカルニュースが映し出されている。そこに場違いな刀剣が飾ってある。これは浜街道にあって会津を思わせる。まあそんな関係ではなくご主人の趣味の世界であるようだ。

 トイレに行きたくなって、とりあえず燗酒とおつまみの天ぷらを注文して、薄暗い店の奥に案内される。その奥への廊下が長い。廊下から垣間見える厨房も驚くほど古めかしく、なにかを揚げる音が響いてくる。トントントンと音がして揚げる音、これはどうも豚カツのようだ。しまったおつまみは豚カツにすればよかったんだ。でもこれは出前用のもの。テーブルにもどると精進揚げに海老天ぷら、そして燗酒が待ち受けていた。

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こんな素朴な天ぷらが出てくるなんて、ここは大衆食堂なんだなと実感する

 そして肝心のラーメンだが、これがなんとも絶品だった。まず浮かんでいるのがなるとである。練り製品が使われているのは老舗の証拠。この店の開業は昭和なのか大正なのか? スープは昔ながらのしょうゆ味、鶏ガラスープに微かに魚貝の旨味。長方形の薄いチャーシューも豚の風味が生きていてうまい。そして麺だが、これが残念なことに茹ですぎ。これさえなかったら理想的なラーメンだったのに。でも食堂などで注文すると、こんなことはままあることではないか。偶然とはいえ、こんなうまいラーメンに出合えるなんて。福島県浪江町恐るべし。また行きたいと思っているのだ『大室屋』。

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大室屋 浪江町権現堂字下続町7 0240-34-2052

 愛知県津島市に天王川公園という桜の名所がある。その前にあるのが吉川屋という食堂。ここはあきらかに食堂なんであってラーメン屋ではない。そんな食堂を見つけて、あまりの普通さ加減に惹かれてふらふらと入ってしまった。そこにいたのはかなり肥満気味の男性店員とかなりかなりお年を召している老婦人ふたりの客。目の前の天王川公園は桜が満開、しかも土曜日なのだ。公園の駐車場は満杯、公園の土手を行く人の多いこと。しかもクルマから見ても驚くほどに美しい桜花である。
 そんな喧噪どこ吹く風、ここには静寂さが沈殿している。この静かさに老婦人の箸の音さえ聞こえるのだ。注文を聞かれてしばし絶句。思い浮かばないので中華そばをお願いする。男性店員は不機嫌なのか、それとも無口なのか愛想がすこぶる悪い。
 そして、かなり待たされて出てきた中華そばにまたまた絶句してしまった。今までいちども見た覚えのないものなのだ。やや醤油色のスープが多すぎるのだろうか具も麺も丼深く沈んでいる。そこにポカリと浮かんでいるのが赤く紅で染めた麩。やや沈んでいるのが赤い蒲鉾、豚肉、ゆで卵。その下に麺が深く深く沈んでいてまったく見えない。「面白いなコレ」、割り箸を押っ取り刀で割り、深い沼の底に差し入れる。
 出てきたのはとてもラーメンではない、ソーメンである。そして一口すすると、ななななななんとスープだろうか、これはむしろうどんのつゆの塩分濃度の強いもの。スープを飲むほどに鶏ガラ風味旨味が感じられて、やはり中華そばなんだなと思い。ソーメンのようなラーメンをスープ共々すすり込むと、これがなかなかうまい。ここに練り物が入っていてうまいなと思うのはうどん汁に近いせいだ。豚肉もいいし、わけぎでも白ネギでもないネギも初めてであるが香りがある。ゆで卵もこの味わいにマッチしているからさあ大変だ。なんだこれは? 頭が混乱する内に中華そばを一滴のスープを残すことなく食べてしまったのだ。
 津島市で出会った不思議な中華そば、これは吉川屋だけのオリジナルだろうか? それとも津島市独特の「津島ラーメン」だろうか? 謎だ!

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愛知県津島市橋詰町2 天王川公園北 吉川屋 ラーメン450円

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 飯能市の大通り商店街は昔、近隣の村から産物を持ち寄って市の立ったところ。いうなれば近隣の村にとってはハレの日に訪れるところとでも言えそうである。そこに古めかしい切り妻造りの仕舞た屋風の建物をふたつ並べてあるのが「住田屋」である。その外見は古く、換気扇のファンの上には竈かなにかしらの煙突が見える。どうも市の立っていたときには売り買いが終わり在所に帰る前にこんな食堂で腹ごしらえをしていたのではないだろうか?

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 その引き戸を開けると、中は薄暗く、よく見ると祭衆も食事中であり満席。引き返そうとしたら4人がけの席に座っていたオバサンが、「合い席でいいならどうぞ」と言ってくれた。店は入って正面にテーブルが並び、その椅子机ともにいたって安物だ。そして漸次、薄暗さに慣れてくると奥には壁があり、窓もなにもない。右手に厨房がある。そのガラスの仕切が古くがたついている。見通せる厨房もなんだか明治や江戸を思わせる。
 メニューはカレーライスや焼き肉定食もある。が、やはり中華の品が多い。そして店内を見回して来店する人のことごとくが食べているが「つけめん500円」である。しかも麺の丼からの盛り上がり方からすると「大盛り600円」だろうか? 大に麺が、小の丼につゆが入っている。これどこかで見たような、と、考えてみると近所にあるうどんの「古久や」の「盛りうどん」と見た目がそっくりだ。違いは麺の太さ。
 一緒に飯能に出かけた姫は迷わず「つけめん」、ボクは好奇心からラーメンを注文する。この日はお祭りなのであり、姫はここに来るまでにチョコバナナ、あんず飴、かき氷などを食べている。当然、「つけめん」は半分しか食べられないだろうという計算も働く。注文を聞きに来た女性がスイングドアから出てきて、また厨房に消える。木の軽そうな戸が何度も何度もばたんばたんする。
 ほどなく前に座ったオバサンに焼き肉定食がやってきた。
「この店はね。飯能でもいちばん古いくらいの店だね。来る人はみんなつけめんかラーメンを食べていくね」
 姫と二人で店内を見回しているとオバサンが教えてくれる。
 そして「つけめん」が姫の前にくる。姫は早速、驚くほどの早さでめんをすすっている。

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「うまいの? 全部食べちゃいそう?」
 うんうんとうなずいているので、ちょっと味見する。これはなかなかいい味わいだ。麺は中華麺ではあるが鹹水などをほとんど使っていないストレートで個性のないものだ。むしろうまいのはつゆである。これは鶏ガラスープに和風の出汁が加わっているようだ。程良い塩分濃度、そして甘味。豚肉となるとが入っているのも「埼玉風盛りうどん」にそっくりである。
 そしてやっとラーメンが到来する。麺はつけめんと同じもの。そこになると、チャーシュー、めんまに海苔にネギが加わる。スープはいたって軽い鶏ガラ風味、そして微かに魚などから来るイノシンの旨味。これも毎日食べても飽きない普段着のラーメン。店が混んでいるわけは当然のうまさにある。

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<p> さて、姫はとうとう「つけめん」を制覇してしまった。かねがねよく食べる娘だと思っていたが、改めてうまいものには目がないのが思い知らされる。<br />
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<p>住田屋 埼玉県飯能市仲町21-23<br /><a href=http://copost.hp.infoseek.co.jp/o-sumitaya.htmlg" width="150" height="98" border="0" />

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